について ウルネスの木造教会
ウルネスの木造教会―ノルウェーのフィヨルドに残るヴァイキング美術とキリスト教建築
ウルネスの木造教会(ノルウェー語:Urnes stavkyrkje)は、ノルウェーのヴェストラン県ルステル市、ルストラフィヨルド東岸のオルネスに建っています。フィヨルドを挟んでソルヴォルン村と向かい合い、ハフスロ村から東へ約5キロメートルの地点にあります。周囲のフィヨルド景観も、教会の歴史的環境を形づくる大切な要素です。
12世紀の教会に受け継がれた古い部材
現在の教会は1130年ごろの建築で、ノルウェーに現存する最古級のスターヴ教会です。建物には、11世紀にこの場所にあった先行教会の木材や彫刻部材が再利用されています。一つの場所に重なる複数の建築段階を、実際の材料から読み取ることができます。
木で表現されたバシリカ式空間
平面は中世キリスト教会の影響を受けたバシリカ式で、内部には円柱と半円アーチが並びます。石造教会に通じる建築形態を木材で表現しながら、垂直に立てた柱で構造を支えるノルウェー独自のスターヴ教会の技術を伝えています。
北欧の伝統とキリスト教が交わるウルネス様式
柱頭や外壁の彫刻は、ヴァイキング時代の視覚文化がキリスト教を受容し、変化していく過程を示します。とりわけ北側入口の、動物が絡み合うような彫刻と北欧伝統の文様は有名で、美術史上の「ウルネス様式」という名称の由来になりました。先行教会から再利用されたこの扉口は、キリスト教以前の北欧世界と中世キリスト教社会をつなぐ作品です。
保存活動と世界遺産登録
教会は1881年から、ノルウェー古代建造物保存協会(Fortidsminneforeningen)が所有しています。1979年にはユネスコ世界遺産一覧表へ登録されました。世界遺産に登録された唯一のスターヴ教会であり、木造建築技術、彫刻芸術、スカンディナヴィア文化の転換を伝える価値が国際的に認められています。