について カーサ・グランド・ルインズ国定公園
ソノラ砂漠にそびえる「大きな家」
アリゾナ州クーリッジでは、ソノラ砂漠の平原に「大きな家(Great House)」がそびえています。国立記念物が保存するのは、この印象的な建物だけではありません。砂漠の祖先の人々に結び付く集落景観として、住居、公共空間、灌漑システムも保護されています。米国国立公園局(NPS)は、ここをヒラ川などに沿って広がった集落・運河網の一部と位置付けています。現在は孤立して見える場所も、かつては農業と交易で結ばれていました。
建物を築いた人々は、自分たちの呼び名を記した文書を残していません。NPSは当時の共同体を「ソノラ砂漠の祖先の人々」と表現し、「ホホカム」は考古学上の用語で、部族や独立した民族の名称ではないと説明しています。オーダム、ホピ、ズニの共同体は祖先とのつながりを持ち、先住民の一部にとってカサ・グランデは今も聖地です。考古学の分類が現在の共同体を覆い隠したり、複雑な歴史を一つの架空の民族像に変えたりしないよう配慮が必要です。
スペイン語のCasa Grandeは「大きな家」を意味します。神父エウセビオ・フランシスコ・キノは1694年に遺跡を訪れた際、その名称を記録しました。建物が築かれてから数世紀後のことです。その後も旅行者や調査隊が記録を残しましたが、文書史料は古代集落の歴史よりずっと後に始まります。考古学、口承伝承、子孫共同体の知識はそれぞれ異なる証拠を伝えます。一つだけで場所の全ての謎に答えることはできません。
建物と、まだ分からない用途
NPSによると、Great Houseは地域の古典期にあたる14世紀に建てられました。巨大な土造りの建物には、コンクリートに似た性質を持つ天然のカリーチェが使われ、一般に四層建てと説明されます。計画的な建設には多くの人々の協力が必要でした。壁や開口部は慎重に配置され、平坦な砂漠の中で建物の高さが目立つランドマークになりました。
建物の正確な用途は現在も分かっていません。NPSによれば研究者は複数の説を提案していますが、確定した説明はありません。住宅や公共空間を含む複合施設の中で重要な役割を担った可能性はありますが、魅力的な仮説を確定した歴史として語るべきではありません。規模の大きさと未解明の点を合わせて見ると、この遺跡の面白さが伝わります。建物は計画と共同作業の証拠ですが、用途までは明らかにしてくれません。
周囲の発掘成果と遺構は、孤立した塔ではなく共同体があったことを示しています。建物群には公共空間や他の土造りの建築が含まれ、記念物の範囲には公開展望台から見られる先住民の祖先の球技場も残っています。垂直にそびえるGreat Houseと、低い砂漠の地平線との対比が印象的です。人々が共同体をどう組織し、公共中心地を設け、砂漠環境に対応したのかを考えるきっかけになります。
運河、作物、遠方との交易
農業は水に関する深い知識に支えられていました。NPSは、雨水の流出や河川の水を運河で畑まで引き、川岸から離れた土地も灌漑したと説明しています。長い期間をかけて灌漑網が発達し、ヒラ川、ソルト川などの流域に集落を支えました。人々はトウモロコシ、豆、カボチャ、綿、タバコを育て、砂漠の食物も採集し、地域の動物を狩りました。砂漠の建物だけでなく、技術、食料、共同作業の歴史です。
運河網は広域の交易にもつながっていました。NPSの資料は、トルコ石、土器、黒曜石、貝殻、銅の鈴などの交易を紹介し、作物や工芸品も交換に使われたとしています。カサ・グランデはそのネットワークの交差点でした。考古資料は、砂漠の共同体が遠方や近隣の人々とつながっていたことを示し、孤立していたという見方を否定します。運河、球技場、広場、住居区は、集落と交流の広い仕組みの一部でした。
14世紀末から15世紀初めにかけて、地域では人口減少と変化が起こりました。NPSは研究者が検討してきた要因として、干ばつ、洪水、病気、争い、農地の変化などを挙げていますが、一つの原因を確定してはいません。先住民の共同体とその子孫は現在もこの歴史とつながり、考古学調査も続いています。未解決の問いを残すことは物語を弱めません。証拠がまだ説明しきれない変化を、正確に伝える方法です。
入場無料、現在の開園時間、遺跡を尊重する見学
カサ・グランデ国立記念物は入場無料です。NPSの現在の計画ページでは、ビジターセンターは年361日、毎日9時〜16時に開館し、ジューンティーンス、独立記念日、感謝祭、クリスマスは休館としています。館内には博物館、書店、トイレ、22分の導入映像があります。祝日、気象警報、行事がある時期は、出発前に公式カレンダーを確認するか施設に問い合わせてください。
Great Houseの周囲には、説明板に沿って歩くセルフガイドコースがあります。NPSはスタッフの都合がつく場合、11月11日から3月中旬まで一日二回のガイドツアーを行うと案内し、当日に時刻を電話確認するよう勧めています。見学時間の目安は1〜2時間です。舗装路または踏み固められた道で全エリアを回れ、屋外ではリードを付けたペットも入れます。砂漠の気候に備えて水と日よけを持参し、遺跡を守るため標識のある道を歩きましょう。
記念物はクーリッジの州道87・287号線付近にあり、短い舗装路の先にビジターセンターの駐車場と大型車用スペースがあります。キャンプや夜間駐車はできません。館内の展示を見てから外を歩き、Great Houseだけでなく、集落、運河、公共空間に目を向けてください。カサ・グランデの価値は、全ての謎が解けていることではありません。砂漠社会の知恵を伝える建築と景観を残し、その歴史を語る子孫共同体の声にもつながっていることにあります。