について クロンボー城
クロンボー城―エーレスンド海峡の要塞と『ハムレット』の舞台
クロンボー城は、デンマークのヘルシンゲルにある城塞です。シェイクスピアの悲劇『ハムレット』に登場するエルシノアとして世界的に知られ、北ヨーロッパを代表するルネサンス城郭の一つです。2000年にユネスコ世界遺産へ登録されました。
バルト海への入口を押さえる立地
城はシェラン島北東端、現在のデンマークとスウェーデンを隔てるエーレスンド海峡の最狭部に立ちます。幅はこの地点でわずか約4キロメートルです。バルト海につながる重要航路を見渡せるため、沿岸要塞を置く戦略的価値がありました。
クローゲン要塞からルネサンス城へ
歴史は、エーリク7世が1420年代に築いたクローゲン要塞から始まります。対岸ヘルシンボリのケルナン要塞とともに、バルト海への入口を管理しました。フレゼリク2世は1574年から1585年にかけて中世の要塞を豪華なルネサンス城へ改築しました。フランドル出身の建築家ハンス・ヘンドリク・ファン・パッシェンとアントニス・ファン・オベルヘンが設計を担い、彫刻装飾はヘルト・ファン・フローニンゲンが統括しました。
火災、包囲、そして公開へ
1629年の火災で城の大部分が焼けましたが、クリスチャン4世が再建させました。城壁内には礼拝堂もあります。1658年にはスウェーデン軍が包囲して占領し、多くの貴重な美術品を戦利品として持ち去りました。
クロンボー城は1785年に王宮としての役割を終え、兵舎へ転用されました。軍は1923年に撤退し、大規模修復を経て一般公開されました。海峡の軍事史、王権の建築、そして『ハムレット』の文学的記憶が一つの場所に重なっています。