について Mount Chimaera
ヤナルタシュ――キマイラ山に燃え続ける天然の炎
ヤナルタシュはトルコ語で「燃える岩」を意味し、アンタルヤ県の海辺の集落チュラル上方、ベイダーラル海岸国立公園内にある。岩の割れ目からガスが噴き出し、各所で炎を上げる。数千年にわたり目撃されてきた火は、古代リュキアの地質、景観、古典神話を結ぶ特異な場所を生んだ。
科学分析では、ガスはメタンを主成分とし、多量の水素と少量の他成分を含む。超苦鉄質岩で起こる地質過程と関係し、非生物起源と熱成起源の成分が混じると考えられる。火山活動でも人工設備でもなく、割れ目を通って上昇したガスが酸素に触れ、持続的に燃焼している。
古代の著述家はリュキアの消えない火を記した。現代ではヤナルタシュを、ベレロポンに倒された火を吐く怪物キマイラと結び付ける伝承が広く知られる。自然現象が神話を育てた可能性は理解できるが、古文献の正確な地点と考古学的同定には議論があり、物語を史実として証明するものではない。
炎の近くにはギリシャの火神ヘファイストスの聖域とされる遺構がある。チュラル海岸や古代都市オリンポスと組み合わせることもできる。入口からは急な階段状の道を約30分登る。夕暮れ以降は炎が際立つ一方、下りには自前の照明と慎重な足運びが必要になる。
現地の2026年観光情報は毎日9~21時としているが、料金と時間は出発前に確認したい。滑りにくい靴、水、夜なら懐中電灯を用意する。噴出口に触れる、燃料を足す、別の火を起こす、道を外れる行為は避ける。可燃性ガスが噴出する保護自然地域である。