について Statue of Hercules
ビストゥーンのヘラクレス像は、イラン西部ケルマーンシャー州の聖山ビストゥーン山麓に刻まれた高浮彫である。ギリシア語銘文から紀元前148年、セレウコス朝期の制作と分かる。裸身の英雄は獅子皮の上に横たわり、左手に杯を持ち、背後には象徴である棍棒が表されている。
ビストゥーンは、メソポタミアとイラン高原を結ぶ古道に面し、先史時代からアケメネス、セレウコス、パルティア、サーサーン各時代の遺構が残る。近くにはダレイオス1世の三言語碑文があり、世界遺産の中心をなす。ヘラクレス像は、アレクサンドロス以後のイラン世界にギリシアの図像と信仰が取り込まれた過程を伝える。
像は1950年代末の道路工事で発見された。頭部は盗難後に回収され、安全のため本物は保管され、現地には複製が取り付けられている。見学時には、古代の彫刻と現代の保護措置を区別して理解したい。
ビストゥーンは広大な考古遺跡である。訪問前にイランの文化遺産当局から開場時間、交通、地域的制限を確認し、浮彫に触れず指定路を守る必要がある。ダレイオス碑文など周辺遺構と合わせれば、西アジアの街道に重なった千年以上の歴史が見えてくる。