ビストゥーンのヘラクレス像は、イラン西部ケルマーンシャー州の聖山ビストゥーン山麓に刻まれた高浮彫である。ギリシア語銘文から紀元前148年、セレウコス朝期の制作と分かる。裸身の英雄は獅子皮の上に横たわり、左手に杯を持ち、背後には象徴である棍棒が表されている。
ビストゥーンは、メソポタミアとイラン高原を結ぶ古道に面し、先史時代からアケメネス、セレウコス、パルティア、サーサーン各時代の遺構が残る。近くにはダレイオス1世の三言語碑文があり、世界遺産の中心をなす。ヘラクレス像は、アレクサンドロス以後のイラン世界にギリシアの図像と信仰が取り込まれた過程を伝える。