イラン西部ケルマーンシャー市の北端にあるターゲ・ボスターンでは、サーサーン朝の王権を示す浮彫がザグロス山脈の岩壁に直接刻まれている。名は「庭園のアーチ」と解釈され、二つの岩窟状アーチ、独立した浮彫、泉と池が一体の景観をつくる。水面に石刻が映る配置は、単なる政治図像ではなく、意図的に構成された王の舞台だったことを感じさせる。
独立した場面は一般にアルダシール2世の叙任、小アーチの像はシャープール2世と3世、大アーチはホスロー2世に結び付けられる。大型の騎馬像、イノシシとシカの狩猟図、楽人や宮廷人は、衣服、武器、甲冑、儀礼を知る貴重な史料である。19世紀カージャール朝が追加した浮彫もあり、後代の支配者が古代王権の空間を再利用した事実を伝える。