グウィネズ州のベセスダ近郊にあるペンリン採石場は、現在も粘板岩を産出する現役の採石場であり、北ウェールズを代表する産業景観でもある。幾重にも続く採掘段丘や水をたたえた跡地からは、オグウェン渓谷一帯で行われた採掘の規模が見て取れる。ここは単なる巨大な穴ではない。採石場と周辺の集落、運搬路、沿岸部が結び付いた場所だ。ユネスコは、ペンリン粘板岩採石場とベセスダ、さらにオグウェン渓谷からポート・ペンリンまでの一帯を「北西ウェールズの粘板岩景観」に含め、2021年に世界遺産へ登録した。
登録対象は単独の観光施設ではなく、広い文化的景観である。この地域の粘板岩はウェールズの外でも屋根材や建築材として使われた。鉄道、道路、港、労働者住宅、工業集落は、採掘が山の地形と人々の日常をどう変えたかを示している。ペンリンでは採掘跡の大きさに加え、ベセスダとの関係や、北のメナイ海峡へ向かう輸送路にも注目したい。地質、労働、技術、景観を一緒に考えられる場所である。