イラン南東部ケルマーン州の砂漠オアシスにあるアルゲ・バムは、世界遺産「バムとその文化的景観」の中心である。単独の城ではなく、最上部の統治者区画を囲むように住宅、市場、厩舎、防壁が展開した都市遺跡だ。起源はアケメネス朝期、あるいはそれ以前に遡り、7~11世紀には交易路の交点と絹・綿織物生産で繁栄した。
城壁と建物には、版築、日干し煉瓦、ヴォールト、ドームを組み合わせた伝統技術が使われる。オアシスの生活を支えたのは山地から水を導く地下水路カナートだった。要塞、果樹園、集落、水利網を一体で見ることで、ユネスコが2004年に登録した対象が壮大な城壁だけでなく、乾燥地で都市生活を成立させた文化的景観であると分かる。