カザフスタン南東部、チュ・イリ山地の乾いた一角には、何世紀にもわたって刻まれた岩絵の回廊が残っています。タムガリ(タンバリとも表記)は一枚の岩壁ではありません。岩絵の周囲に集落、墓地、祭壇、牧畜生活の痕跡が広がる考古学的景観です。地名の訳語だけで価値が決まるのではなく、谷や斜面に人間の営みが密度高く、長く記録されてきたことに意義があります。
ユネスコによれば、登録資産は約900ヘクタールで、約2,900ヘクタールの緩衝地帯に囲まれ、約5,000点の岩絵があります。タンバリ保護区博物館は保護区全体を約3,800ヘクタールとしています。これは対象範囲の異なる数値で、登録区域の面積をめぐる矛盾ではありません。文化的景観には集落、墓、祭祀に関わる遺構も含まれます。目を引く図像を一つだけ切り離すのではなく、地形やほかの考古資料との関係を見ることで、全体の価値が分かります。