バナウェ棚田はフィリピン・ルソン島北部イフガオ州にあり、山地林、灌漑路、石・土の畦、集落、稲作儀礼からなる生きた文化景観である。一度に完成した古代土木ではなく、イフガオの家族と共同体が世代ごとに壁を直し、水を引き、種を選び、耕してきた結果だ。全棚田を一括して「2000年前建設」と断言すると地域ごとの年代論争と継続的改変を隠す。確かなのは、伝統知が今も景観の存続を左右することだ。
「バナウェ棚田」は世界遺産全体とも誤解されやすい。1995年登録の「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」は5群で、バナウェ町内はBatadとBangaanのみ。他はMayoyao Central、Hungduan、KianganのNagacadanである。町近くのViewpoint棚田は有名だが原登録5群ではなく、フィリピンは2024年に中央バナウェなどを拡張候補として暫定一覧へ提出した。