バナウェの棚田は、門やチケット売り場、決まった順路を備えた単独の遺跡ではありません。フィリピン・ルソン島のコルディリェラ山地にあるイフガオ州で、今も人々が暮らし、農業を営む広大な景観の一部です。急斜面には石や土の壁で支えた田が階段状に連なり、水は上方の森林から水路や池を通って導かれます。眺めは印象的ですが、棚田はまず耕作地であり、祖先から受け継がれた土地です。
ユネスコは「フィリピン・コルディリェラの棚田群」を、歴史が前植民地時代の約二千年前まで遡る、生きた文化的景観と説明しています。この表現はイフガオの棚田文化の長い歩みを示すもので、バナウェの一枚一枚の石垣や田に正確な建設年を与えるものではありません。景観は時代とともに変化しており、個々の棚田の年代をめぐる研究も続いています。