ラスコーIIはラスコーの原洞ではない。フランス・ドルドーニュ県モンティニャック近郊に造られた複製洞窟で、脆弱な先史時代の洞窟に一般の来訪者が頻繁に入ることなく、主要な彩色空間を体験できるようにした施設だ。原洞は1940年に発見され、保存上の理由から1963年に一般公開を終了した。現在も非公開であり、ラスコーIIは保護された原洞への別入口ではなく、最初の実物大レプリカである。
原洞の壁画は後期旧石器時代の美術に属し、氷期の環境に生息した動物を描いている。ラスコーは、ユネスコ世界遺産「ヴェゼール渓谷の先史時代遺跡と装飾洞窟」の構成資産だ。評価されるのは単独の一場面ではなく、壁画と刻画の規模や多様さである。考古学遺跡と見学用の複製を区別したい。ラスコーIIで見るのは丁寧に再現された解釈展示であり、古代の壁そのものではない。