について ゴブスタン国立保護区
ゴブスタンの岩絵文化的景観―岩に刻まれた4万年の記録
ゴブスタン国立保護区は、アゼルバイジャンのゴブスタン集落の西、首都バクー中心部から南西へ約64キロメートルの場所にあります。古代の岩刻画をはじめ、考古遺跡と特徴的な地質景観を守るため、1966年に保護区として設けられました。
6000点を超える岩刻画
区域内には6000点を超える岩刻画が残っています。人物や動物、戦闘、儀礼の踊り、牛、武装した漕ぎ手を乗せた舟、槍を持つ戦士、ラクダの隊商、太陽や星を思わせる図像など、題材は多彩です。ユネスコによれば、これらは後期旧石器時代から後世の歴史時代まで、およそ4万年に及ぶ人類の表現を伝えています。
考古遺産と地質景観
より広いゴブスタン保護区は、泥火山や天然ガスの噴出に関わる地質現象でも知られます。一方、世界遺産として登録された区域は、岩絵遺跡が集中する三つの岩山地帯です。保護区全体と世界遺産の範囲を区別することで、この場所が持つ考古学的価値と自然環境の双方を正確に理解できます。
国の保護から世界遺産へ
ゴブスタン国立歴史文化保護区は2006年に国の保護対象としての地位を得ました。翌2007年、ニュージーランドのクライストチャーチで開かれた第31回世界遺産委員会で、「ゴブスタンの岩絵文化的景観」が世界遺産一覧表に登録されました。登録資産は三つの区域からなり、面積は約537ヘクタールです。
旅行者は、岩石が置かれた本来の環境の中で、数万年にわたる人間の営みを読み取れます。狩猟や儀礼、移動手段、動物相の変化を伝える一方、岩絵は傷つきやすく再生できない遺産です。見学では指定された経路と保護上のルールを尊重することが欠かせません。