について シャニダール洞窟
シャニダール洞窟:ネアンデルタール人の暮らしと埋葬を伝える遺跡
シャニダール洞窟(クルド語:Zewî Çemî Şaneder、ئەشکەوتی شانەدەر、アラビア語:كَهَف شانِدَر)は、イラク北部クルディスタン地域のアルビール県、ブラドスト山にある考古遺跡です。ザグロス山脈に位置します。
10人のネアンデルタール人
20世紀半ば、人類学者ラルフ・ソレッキが率いるコロンビア大学の調査隊は、クルド人作業員とともに洞窟を発掘し、成人8人と乳幼児2人のネアンデルタール人骨を発見しました。遺骨はムステリアン文化層から石器や動物骨とともに出土しました。
古い資料は年代を約6万5千~3万5千年前と幅広く示していましたが、後の研究は個体による違いを明らかにしています。上層の一部は約5万5千~4万5千年前、新たに見つかった「シャニダールZ」は約7万5千年前です。
後世の墓地とシャニダール1号
洞窟には、より新しい原新石器時代の墓地も二つあります。その一つは約1万600年前で、35人が埋葬されていました。よく知られるシャニダール1号は、生前に複数の重傷を負いながら長く生き延び、仲間から介護を受けた可能性があります。
「花の埋葬」を再検討する
シャニダール4号は、いわゆる「花の埋葬」で有名です。周囲の花粉はかつて、遺体に花を供えた証拠と解釈されました。しかし最新の花粉研究は、少なくとも一部の花粉塊を営巣する単独性ハチが運び込んだ可能性を示し、花を使った儀礼そのものは確定していません。
一方、遺骨が狭い範囲に集中し、関節がつながった状態で残り、堆積状況も人為的な配置を示すことから、ネアンデルタール人が意図的に死者を安置したという有力な証拠は残ります。洞窟は介護と埋葬行動をめぐる研究の中心であり続けています。