について ノール=パ・デュ・カレー地方の炭田地帯
ノール=パ・ド・カレー鉱業盆地―300年の石炭産業がつくった景観
ノール=パ・ド・カレー鉱業盆地は、フランス北部をベルギー国境からアルトワ丘陵まで約120キロメートルにわたって延びます。坑口、巻上げ櫓、ボタ山、鉄道、運河、労働者住宅、学校、教会が、石炭産業によって農村地帯が全面的に再編された過程を示します。2012年、「進化する文化的景観」としてユネスコ世界遺産に登録されました。
一つの博物館ではない
世界遺産は353の遺産要素を109の構成資産にまとめ、約4000ヘクタールの景観を含みます。旧鉱業盆地の全域でも、代表的な大型施設だけでもありません。この連続資産という性格から、共通入口、統一開館時間、唯一の見学ルートはありません。
坑口と産業建築、鉱夫や石炭を昇降させた櫓、高さ140メートルを超えるボタ山、運炭鉄道と水路、地盤沈下で生まれた池などが含まれます。労働者の暮らしも重要で、長屋、田園都市、戸建て住宅、技師・経営者の邸宅、病院、学校、教会、労組施設、集会所、スポーツ設備も登録対象です。
労働、移民、連帯の歴史
採炭は18世紀から発展し、最後の鉱山が閉じた1990年まで続きました。産業は大規模な労働力と国際移民を呼び込み、各企業を中心とする共同体を形成しました。遺産は技術革新だけでなく、危険な労働、鉱山事故、企業統制、労働運動、相互扶助を伝えます。
19世紀半ばから1960年代に整備された「模範鉱山都市」は、住宅、教育、医療、宗教、余暇を企業計画に組み込みました。多くは現在も生活の場です。世界遺産の住宅と道路を過去のセットとして扱わず、住民のプライバシーを尊重する必要があります。
見学ルートの組み立て方
管理組織は353要素を示すインタラクティブ地図を公開し、地域別に旅程を作れます。ロス=アン=ゴエルの11/19坑、ワレールのアランベール、各地のボタ山と鉱山都市は、生産、景観、社会生活の異なる側面を見せます。博物館、文化施設、内部公開建築はそれぞれ予約と開館時間が異なります。
広域なので、一日で横断するより一つの地区に時間を使うのが現実的です。徒歩や自転車なら、櫓、住宅、ボタ山の関係を読み取りやすくなります。各施設の時間を個別に確認し、ボタ山では許可された道だけを利用してください。急斜面、内部の残熱、自然保護による規制がある場所もあります。