について ベリーズ珊瑚礁保護区
海岸の一か所ではなく、連なる礁のシステム
ベリーズ・バリアリーフは一つの観光地のように紹介されることがあるが、ユネスコの世界遺産はカリブ海沿岸に点在する七つの保護区からなる。そこでは異なるタイプのサンゴ礁、沖合の環礁、小さな砂州やマングローブの島、ラグーンなどの沿岸環境が守られている。ユネスコは1996年にベリーズ・バリアリーフ保護区群を世界遺産に登録し、北半球最大のバリアリーフで、世界でも二番目に大きい礁システムと説明している。旅行者にとって大切なのは、ここが一つの入口や展望所ではなく、広範囲にわたる海の景観だという点だ。
世界遺産を構成する七つの区域は、バカラル・チコ国立公園・海洋保護区、ブルーホール天然記念物、ハーフムーン・キー天然記念物、サウスウォーター・キー海洋保護区、グローヴァーズ・リーフ海洋保護区、ラフィング・バード・キー国立公園、サポディラ・ケイズ海洋保護区である。ユネスコによる登録区域の面積は96,300ヘクタールで、礁全体の約12%にあたる。この違いは重要だ。世界遺産はより大きな生きた礁システムのなかにある選定保護区であり、場所によって海の環境やアクセス方法も異なる。
ラグーンとマングローブから外礁へ
ここは、海岸近くに一本のサンゴ礁が続くという単純な風景ではない。ユネスコは沿岸ラグーン、海草の藻場、マングローブ林、バリアリーフ、環礁がつながる生態系を説明している。大陸に近い区域もあれば、沖合に離れた場所もある。この地形は生態学的な意味を持つ。浅い育成場所、海草の草原、礁の斜面、外洋は、海の生き物の成長段階に応じた異なる環境となる。白い砂浜とマングローブの暗い緑は景色の対比であると同時に、沿岸生態系を形作る要素でもある。
ユネスコは500種を超える魚類を記録し、広域にはサンゴ、軟体動物、ヒドロ虫類、海洋植物などの多様性があるとしている。また、西インドマナティーや複数のウミガメ、アメリカワニなど、ここを重要な生息地とする絶滅の危機にある生物も挙げている。訪問しても必ず出会えるわけではなく、責任ある旅行では、野生生物を運営会社が見せるべき見世物のように扱わない。生き物が生息することは保護の理由の一つであり、生息地、水質、野生動物の健康は規則を守ることにかかっている。
旅行者にとって「サンゴ礁へ行く」という言葉は、まったく異なる海上体験を指すことがある。環礁へのツアー、島の近くでのシュノーケリング、保護されたキーへのボート訪問は、同じ行程ではない。予約の前に区域と活動を選び、ルート、天候、装備、保全料金を運営会社に確認しよう。宣伝されるすべてのダイビング地点がユネスコの登録区域に含まれるわけではなく、一枚のチケットで複数の保護区に入れるとも限らない。広さが魅力の一部であるからこそ、現実的な計画が必要になる。
続いている保全の取り組み
国際的な評価を受けても、海岸への圧力がなくなったわけではない。ユネスコは2009年、マングローブの破壊、海洋生態系の損傷、沖合の石油採掘、持続可能でない建設などへの懸念から、遺産を危機遺産リストに加えた。2018年、世界遺産委員会はベリーズの保全措置を評価し、同国の海域全体に対する石油探査のモラトリアムと、マングローブ保護規則の強化を挙げてリストから外した。これは重要な前進だが、生態系に危険がない、あるいは管理が終わったという意味ではない。
ユネスコは今も沿岸開発、海洋資源の採取、観光圧、水質、気候変動などを管理上の課題として挙げている。サンゴの白化、より強い嵐、海面上昇は礁やキーに影響し、人間による負荷が状況を悪化させることもある。そのため保全には、保護区域を指定するだけでなく、調査、取り締まり、行政や地域社会の連携、旅行者と観光事業者の慎重な選択が必要だ。七つの区域が異なる沿岸環境に広く点在していることも、管理を複雑にしている。
ベリーズの国営観光機関の案内は、サンゴや野生生物から距離をとること、サンゴに触れたり踏んだりしないこと、動物に餌を与えないこと、認可ガイドを利用することを勧めている。保護区の入場料は一般にツアー料金に含まれ、管理に役立てられるとも説明している。環境に強い関心を持つ旅行者だけの特別な心がけではなく、避けられる損傷を防ぐための基本だ。予約時に、どの保護区へ行くのか、料金に何が含まれるのか、現地でどんな規則があるのかを確認しよう。
出発地を選び、海上の時間を計画する
世界遺産が七つの区域に分かれているため、通常は沿岸の拠点から具体的なツアーを計画する。「一度で礁全体を見る」ことはできない。ベリーズの観光機関は、国の海岸線に沿ったダイビングやシュノーケリング、いくつかの環礁や礁の体験を紹介している。限られた日数、船への慣れ、希望する活動に合わせて選びたい。出航場所、所要時間、天候悪化時の対応は、認可事業者に直接確認する。島や季節、海況によって異なる。
具体例として、アンバーグリス・キーのサン・ペドロから南へ約6キロの場所にホル・チャン海洋保護区がある。ベリーズ漁業局によれば、サンゴ礁、海草藻場、沿岸マングローブを含む保護区で、バリアリーフの天然の切れ目であるホル・チャン水路を中心とする。ベリーズの広い礁環境に関連する別管理の海洋保護区だが、ユネスコが登録した七つの構成区域の一つではない。規則ではシュノーケリングやダイビングを行う人は登録し、保護区のルールを知る必要がある。船とガイドにも運航上の条件がある。料金は変わるため、古い料金表ではなく保護区や事業者に確認しよう。
支払いの前に、どの保護区や海域に行くのか、入場料が含まれるか、海況が変わった場合にどうするのか、ガイドがサンゴや動物との接触をどう防ぐのかを尋ねるとよい。日焼け対策、水、必要な薬を用意し、係留ブイ、野生生物との距離、遊泳指定区域についての指示に従おう。説明が行き届いた落ち着いたツアーなら、礁は舞台装置ではなく生息地であり続けられる。ベリーズのバリアリーフの魅力は、透明な水と鮮やかな色彩だけではない。人の使い方にも未来が左右される、つながり合った自然システムである。