について モヘンジョダロ
モヘンジョダロ――インダス文明を代表する初期都市
モヘンジョダロ(シンド語:موئن جو دڙو、一般に「死者の丘」の意)は、パキスタンのシンド州、インダス川右岸にある考古遺跡です。紀元前2500年ごろに栄えたインダス文明最大級の集落で、古代エジプト、メソポタミア、ミノア文明、ノルテ・チコ文明と同時代に存在した、世界最古級の大都市の一つです。
計画された都市と衛生設備
遺跡は西側の城塞地区と東側の下町に大きく分かれます。下町では街路が規則正しく交差し、組織的な都市計画が明瞭に残っています。井戸、排水路、汚水を処理する浸透槽、公共浴場などは、水と衛生を管理する高度な仕組みがあったことを示します。ユネスコは、南アジアに残る初期都市遺跡の中でも特に保存状態のよい例と評価しています。
放棄から再発見へ
インダス文明の衰退とともに、都市は紀元前2千年紀に放棄されました。1922年に近代考古学による発見が報告され、その後、本格的な発掘が進められました。ただし、発掘された範囲は遺産地区の一部にとどまり、地下には未調査の区域が広く残っています。1980年には「モヘンジョダロの考古遺跡」としてユネスコ世界遺産に登録されました。
土とレンガの都市を守る課題
遺構は地下水位の変化による塩害、激しい降雨、熱応力、洪水の危険、周辺開発などにさらされています。近年の保全では、排水機能、修復材料、災害リスクの軽減、特に脆弱な部分の優先的な保護が重視されています。モヘンジョダロは古代都市の証言であると同時に、現在も継続する文化遺産保全の現場です。