について 古代都市エル・タヒン
エル・タヒン――壁龕のピラミッドと球戯場の都市
エル・タヒンはメキシコ、ベラクルス州北部の緑の丘陵にあり、パパントラに近い。テオティワカン衰退後、メシカ台頭前の9世紀初めから13世紀初めに最盛期を迎えた。メソアメリカ北東部の有力中心となり、湾岸、マヤ地域、中央高原へ影響を広げた。
象徴は「壁龕のピラミッド」である。階段状の壁面に365の壁龕があり、暦、象徴、儀礼との関係が研究されてきた。ただし数の対応だけで、建物の全要素を天文台と断定はできない。張り出す蛇腹、幾何学文、深い陰影が、メソアメリカ建築の中でも特有のリズムを作る。
市内には球戯場が異例の密度で存在する。南球戯場の彫刻板は儀礼、犠牲、超自然的存在を表し、競技の政治的・宗教的意味を知る重要史料だ。宮殿、広場、高所のタヒン・チコ地区は、階層社会と湿潤な起伏地への巧みな適応を伝える。
放棄後、遺構の多くは植物に覆われたが、地域のトトナカ共同体は景観との文化的関係を保った。1785年に植民地官吏が壁龕のピラミッドを報告し、近代発掘が都市像を明らかにした。1992年に世界遺産登録。タヒンは「雷」や「強い煙」と訳されるが、INAHは複数のトトナカ語解釈を紹介する。
INAHの現行案内は毎日9~18時、最終入場17時。遺跡博物館は早く閉まる場合があるため、料金、入口、サービスを公式情報で確かめたい。暑さ、湿気、雨に備え、水、日差し対策、虫よけ、丈夫な靴を用意する。喫煙、ペット、食品の持込み、館内フラッシュは禁止されている。