について 嚴島神社
嚴島神社は広島県廿日市市の宮島に鎮座し、公式表記には旧字体の「嚴」を用いる。朱塗りの社殿は湾の浅瀬に展開し、満潮には廻廊、能舞台、大鳥居が海に浮かぶように見え、干潮には潮間帯が現れて尺度が変わる。島そのものを神聖視する思想から山中ではなく海、弥山原始林、集落の間に建築が置かれた。1996年、社殿群と背景景観はUNESCO世界遺産になった。
社伝では推古天皇即位年の593年創建で、市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命の三女神を祭る。12世紀、平清盛が社殿を造営し、現在に近い寝殿造風の海上配置を整えた。その後も台風、火災などの被害と修理を重ねている。本社、客神社、長い廻廊、高舞台、能舞台、大鳥居は一時代の標本ではなく、祭祀と保全、再建が続いて成立した一体の文化財である。
神社は年中無休。公式時間は1月1日0時~18時30分、1月2~3日6時30分~18時30分、1月4日~2月末6時30分~17時30分、3月1日~10月14日6時30分~18時、10月15日~11月30日6時30分~17時30分、12月は6時30分~17時。個人の昇殿料は大人300円、宝物館300円、共通券500円で、学生・児童料金がある。祭典などで変わり得るため当日の公式告知を確認したい。
広島市内からはJRまたは広島電鉄で宮島口へ行き、フェリーで渡るのが一般的。桟橋から神社は徒歩圏だが、繁忙期、週末、大祭は列が延びる。訪問前に潮汐表を見るとよい。満潮は海上社殿の構図、干潮は開放区域から大鳥居へ近づけるが、構造物に触れたり登ったり、閉鎖された干潟へ入ったりしてはならない。高潮対策で廻廊床に隙間があり、公式もハイヒールへの注意を促している。
ここは現在も祈りが続く神社で、撮影セットではない。拝殿では静かに標示順路を進み、祭祀をフラッシュで妨げず、鹿に食べ物を見せたり与えたりしない。時間があれば宝物館、千畳閣、弥山、町家通りと組み合わせられるが、各施設の時間は別である。早朝は比較的静かで、夕方は光が柔らかい。どの潮位でも、信仰空間と海辺の環境への敬意が写真以上に重要だ。