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赤の広場

モスクワの赤の広場を歩き、聖ワシリイ大聖堂、グム百貨店、国立歴史博物館を見学。広場とクレムリン博物館の時間の違いも解説。

座標: 55.7539303, 37.620795 更新日: 2026-10-07 Google ストリートビュー

について 赤の広場

クレムリンと旧市街の間に広がる空間

モスクワの赤の広場はクレムリン東側の城壁に沿って延び、旧商業地区キタイ・ゴロドに面している。名前から一つの記念建築を想像しがちだが、実際は時代の異なる建物が周囲を囲む都市空間である。西側にはクレムリンの城壁、北端には国立歴史博物館と復活門、東側にはグム百貨店など旧商業施設、南端には聖ワシリイ大聖堂が立つ。個々の建物だけでなく、これらがつくる景観全体にこの広場の魅力がある。

赤の広場とクレムリンは一体のユネスコ世界遺産を構成し、1990年に登録された。ユネスコは赤の広場を、クレムリンと密接に結び付いた東側城壁のふもとの空間と説明する。遺産には中世の防衛施設、正教会の聖堂、宮殿、後世の公共建築が含まれる。この背景を知ると、広場を都市から切り離されたテーマパークとして見る必要がないと分かる。敷石を歩きながら、モスクワの政治、宗教、商業の中心が隣り合って発展した様子をたどることができる。

市場から都市の象徴へ

モスクワが城塞の外へ広がるにつれ、赤の広場も形づくられていった。ロシア語の歴史資料は、中世後期にクレムリン近くの空き地が交易と市民生活の場となったことを、この広場の形成と関連付けている。市場、布告、宗教行列、国家儀礼と、同じ場所の使われ方は時代によって変わった。「赤」をかつて「美しい」と解釈する説明が広く知られているが、地名の伝承を確定した語源と同一視せず、確認できる歴史と区別して扱いたい。

南端には聖ワシリイ大聖堂が建つ。正式名称は「堀の上の生神女庇護大聖堂」である。ユネスコによると、イワン4世がカザン・ハン国に勝利したことを記念して1555~1560年に建設された。礼拝堂が集まる構成と色鮮やかなドームは、モスクワを代表する眺めの一つだ。国立歴史博物館と、現在のグム百貨店にあたる上商業列も、19世紀末の広場の姿を整えた。宗教、商業、国家の記憶が都市中心部に重なっていったことを、周囲の建物から読み取れる。

広場を歩きながら注目したいもの

北側の復活門と国立歴史博物館付近から歩き始めると、赤レンガの博物館と広場の向こうのクレムリン城壁が対照をなす。そこから東のグム百貨店を眺めよう。長いアーケードはかつての商業施設の列を思わせるが、現在も営業する百貨店でもある。写真を一枚撮って通り過ぎるだけでなく、立ち止まって両方向を見渡すと、広場の空間構成が分かりやすくなる。

南へ進み聖ワシリイ大聖堂に近づくと、歩く位置によって輪郭が変わって見える。建設は16世紀だが、その後加えられた装飾が、今日知られる複雑な外観をつくった。クレムリン側には赤い城壁と塔が連なり、広場中央に近いロブノエ・メストは公開の告知や儀礼に使われたとされる石造の壇である。近くにあるからといって、役割や歴史は同じではない。広場を複数時代の建物と公共空間の集合として眺めると、すべてを一時代のものとする単純な説明を避けられる。

世界遺産の範囲と20世紀の歴史

世界遺産に含まれるのは広場の敷石だけではない。クレムリンの城壁、重要な教会や市民建築、聖ワシリイ大聖堂、それらを結ぶ歴史的環境が対象だ。ユネスコは、現存する主要なクレムリンの石壁と塔を1485~1516年のものとし、広場を囲む建物の配置は国立歴史博物館、上商業列、中商業列が整った19世紀末までに形づくられたと説明している。ここは中世の姿に固定された舞台ではなく、時代を重ねた都市の中心である。

20世紀には目に見える政治的な層が加わった。ユネスコによれば、1929年に完成したレーニン廟はソ連の記念碑的建築を示す重要な例である。広場は国家行事や公開イベントの会場にもなった。こうした用途は記録に残る歴史の一部だが、それ以前の宗教、商業、市民生活を覆い隠すものではなく、赤の広場が今も都市の中にあることも忘れたくない。異なる時代の記念物を眺める際は、歴史の解釈が一つに限られるわけではないことも意識したい。

開館時間、入場券、訪問の組み立て方

赤の広場そのものは屋外の都市空間であり、クレムリン博物館の有料入場口とは別だ。クレムリン内部の博物館に入るには別のチケットが必要で、開館時間、安全検査、臨時休館の影響を受ける。クレムリン博物館が現在掲載する大聖堂広場の博物館の季節時間は、10月1日から5月14日まで10時~17時、5月15日から9月30日まで9時30分~18時で、通常は木曜休館。これは博物館の時間であって、赤の広場の開放時間ではない。公式行事などで変更される場合もある。

国立歴史博物館と聖ワシリイ大聖堂も、それぞれ別の入場券が必要な施設だ。歴史博物館の公式案内は最新の開館予定を掲示し、閉館1時間前にチケット窓口と入場を終了するとしている。2025年10月施行の公式料金命令では、常設展示の成人料金は各施設2,000ルーブルと記載されたが、2027年の訪問前に最新価格を確かめよう。行事による交通規制やルート変更についても市の案内を確認したい。時間に余裕を持って建物の外観を比べ、細部を見上げると、モスクワの数世紀にわたる歴史が一つの広場に集まる様子が見えてくる。