イチェリシェヘルは「内城」を意味し、アゼルバイジャンの首都バクーに残る歴史地区の中心である。博物館のように生活から切り離された遺跡ではなく、石灰岩の城壁の内側に住居、商店、宗教施設、隊商宿、細い路地が共存する生きた街だ。ユネスコは2000年、シルヴァン・シャー宮殿と乙女の塔を含む城壁都市バクーを世界遺産に登録した。
ユネスコによれば、この一帯には旧石器時代から人の活動があり、ゾロアスター教、ササン朝、アラブ、ペルシャ、シルヴァン、オスマン、ロシアなど、幾つもの時代の痕跡が重なっている。現存する城壁の多くは12世紀にさかのぼる。交易路とカスピ海の港を背景に発展し、後世には石油の繁栄も都市景観に新たな層を加えた。