マクリは単独の霊廟ではなく、パキスタン南部シンド州のタッタ近郊に広がる大規模な墓地です。ユネスコの登録名称は「タッタのマクリ歴史的建造物群」。約6.5キロに及ぶ台地の縁に沿い、およそ10平方キロの範囲に広がります。ユネスコは墓や墓廟を約50万基と記しています。この規模を知ると、訪問は一つの建物を見るというより、葬送の景観を歩く体験だと分かります。
墓地はタッタがかつて持っていた重要性と深く結び付いています。ユネスコによれば、タッタは複数の王朝の首都となり、その後ムガル帝国の支配下に入り、14~18世紀に多くの建造物が築かれました。マクリの建築は、その時代のシンド地方の政治・社会史を伝えます。王や女王だけでなく、地方長官、宗教者、学者などの墓もあり、王族専用の墓所より幅広い社会像が残されています。