龍門石窟は中国河南省洛陽の南約12キロにあり、伊河が龍門山と香山の間を流れる。両岸の石灰岩壁が天然の門に見えるため、古くは「伊闕」と呼ばれた。約1キロに2300以上の洞窟・龕、約11万体の仏教石像、60余りの塔、約2800件の碑刻が集まり、中国石彫芸術を代表する遺跡である。
造営は北魏孝文帝が洛陽へ遷都した493年ごろに始まり、数世紀続いた。北魏末から盛唐が最盛期で、古陽洞と賓陽三洞は中央・南アジア由来の仏像表現が中国的様式へ変わる過程を示す。薬方洞には疾病治療を記した銘文があり、多数の供養者銘は皇室、官僚、僧侶、一般信徒が造営に参加した社会史も伝える。