について ロイヤル・アルバート・ホール
公共の遺産として構想されたホール
ロイヤル・アルバート・ホールは、印象的なコンサート会場というだけではない。サウス・ケンジントンのケンジントン・ゴアに立つこの建物は、文化と公教育のための施設を恒久的に整備するというビクトリア朝の計画のうち、現在も使われる最も目立つ存在だ。発端は1851年のロンドン万国博覧会の後にある。博覧会の委員たちは収益の大半と政府資金を合わせ、ハイド・パークの会場向かいにあるケンジントン・ゴアの土地を取得した。アルバート公はそこに複数の施設を設け、大規模な音楽堂も構想した。
計画が実現する前の1861年、アルバート公は亡くなった。翌年、ビクトリア女王は夫の記念碑と音楽堂を一体で建設するヘンリー・コール卿の案を支持した。コールが事業を統括し、フランシス・フォーク大尉が設計をまとめたが、1865年にフォークが死去したため、ヘンリー・スコット大佐が後を継いだ。1867年、委員会は敷地の999年賃借権を認めた。建設資金には民間投資家が座席を購入して参加し、女王は施設の運営を定める王室憲章に署名した。
1867年に定礎式が行われ、女王は建物を「ロイヤル・アルバート・ホール・オブ・アーツ・アンド・サイエンシズ」と呼ぶと発表した。公式開館は1871年3月29日。ホールの記録によれば、当初の目標は「見ること、聞くこと、快適さ」の面で優れた場所をつくることであり、この考えは今も施設の性格を形づくる。建物は、ケンジントン・ガーデンズの向かいにあるアルバート記念碑に対する、公共に開かれた実用的な施設でもあり、外から眺めるだけの記念物ではなかった。
平面と規模は初めて訪れる人に強い印象を与える。大きな楕円形の建物の内部に客席が広がり、ガラス張りのドームの下をバルコニーとギャラリーが取り囲む。大勢の観客を迎えるために建てられた当時、技術者たちは巨大な屋内空間の音響をどう整えるかを模索していた。有名な「キノコ型の反響」はホールの逸話となり、その後、アリーナ上部に吊るす音響ディフューザーなどの改修が、特徴的な空間を残しながら音を改善した。
クラシック音楽から国民的行事まで
ホールの歴史は、舞台に立った人々の幅広さから理解しやすい。公式アーカイブにはワーグナー、ヴェルディ、エルガーら作曲家・指揮者の名があり、ラフマニノフが自作を演奏した記録もある。その後、ロックやポップスの観客も集まった。カタログにはビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、フランク・シナトラ、エルトン・ジョン、アデルらが出演者として記録されている。これは一つのジャンルに限られない、変化を続けるプログラムを示している。
スポーツ、社会的な議論、式典も評判を形づくってきた。アーカイブにはボクシング王者モハメド・アリ、テニス選手ジョン・マッケンロー、相撲力士などの来演が記録される。演説者にはウィンストン・チャーチル、ネルソン・マンデラ、ダライ・ラマも名を連ねる。多様性が重要なのは、ホールが公共施設として構想され、音楽、市民生活、大衆娯楽の境界を越える催しを重ねてきたからだ。
毎年のロンドン文化カレンダーに定着した催しもある。ヘンリー・ウッド・プロムナード・コンサート、通称BBCプロムスは毎夏開催される。ホールのアーカイブは、リメンブランス・フェスティバル、イングリッシュ・ナショナル・バレエ、シルク・ドゥ・ソレイユ、ティーンエイジ・キャンサー・トラスト支援公演なども恒例行事として挙げている。日程、出演者、チケット条件は年ごとに変わるため、歴史はアーカイブで調べ、旅行中の公演は最新のプログラムで確認したい。
訪問の形は大きく二つに分かれる。公演を鑑賞するか、ガイド付きツアーに参加するかだ。公演チケットはその催しの時間帯に入場するためのもので、ツアーでは建築や舞台の歴史を知ることができる。ホールはツアーを一般公開の重要な機会と位置づけているが、リハーサル、公演、貸切行事によって見学コースや入れる場所が変わることがある。毎日すべての公共エリアに入れると考えてはいけない。
サウス・ケンジントン訪問の計画
ロイヤル・アルバート・ホールの住所はロンドンSW7 2AP、ケンジントン・ゴア。サウス・ケンジントン北端にあり、主要な博物館やケンジントン・ガーデンズにも近い。周辺観光と組み合わせやすい一方、施設間の移動時間とロンドンの交通事情を見込んでおきたい。終日入場できる博物館ではなく、現在も公演を行う会場である。出発前に公式イベント情報かツアー予約ページを確認し、日付、時間、料金、入場方法、注意事項を確かめよう。
開館・入場の扱いはプログラムに左右される。公演日は開場、窓口、一般入場が上演予定に合わせて設定され、別の日にはツアーなど確認済みの活動が入場の機会になる。開場時刻、ツアーの有無、実用情報は公式の来場案内ページで確認するのがよい。一般的なガイドや古い旅行記事の時刻では、リハーサル、貸切予約、臨時休館が反映されていない場合がある。
初めてなら、関心に合う体験を選ぶとよい。ガイドツアーではホールの資金調達、建築の変遷、幅広い催しを迎えてきた理由を聞ける。公演では設計された本来の用途で空間を体験できる。夜の公演準備と重なることがあり、ツアーの経路が変更される場合もあるため、事前予約を行い、選んだツアーの条件を読んでおこう。
チケット購入前には、アクセシビリティや座席も確認したい。段差のない経路、特定の視界、上演中の支援が必要な人は特に注意が必要だ。楕円形の客席には複数の階層と視点があり、座席によって体験は異なる。最新のアクセス案内と座席図を確認し、ウェブ上で分からない点があれば会場に問い合わせよう。歴史的建築のすべての区域に同じ設備があるとは限らない。
ロイヤル・アルバート・ホールを理解するには、その建築を現在も続く公共の営みと結びつけるのがよい。野心的なビクトリア朝の文化計画から生まれ、発案者の死後に完成し、クラシック、人気音楽、スポーツ、追悼行事、演説の舞台となった。固定した博物館の営業時間を想定せず、確認済みの公演予定に合わせて訪れれば、ケンジントン・ガーデンズから眺めるランドマークと、内部で音が響く現役の会場の両方に出会える。