アプロンは古典史料に登場するダキアの地名ですが、正確な位置は確定していません。ルーマニアの考古学報告は、ピアトラ・クラヴィイ山頂の要塞遺跡を古代アポウロンと結び付ける説を「仮説」としています。ここは重要な区別です。山上の遺跡と研究成果は確かな一方、遺構が文献の地名に当たるかどうかは、確定事実ではなく考古学上の解釈です。
ピアトラ・クラヴィイはアプセニ山脈トラスカウ地方の石灰岩峰で、標高は最高約1,078メートル。ムレシュ川渓谷に近く、アルバ・ユリアの北約20キロに位置します。ルーマニア考古学紀要は、中流域を広く見渡せる岩峰と記録しています。見晴らしのよい地形は、さまざまな共同体が長い期間にわたり山を利用し、手を加えた理由を考える手掛かりです。