について ノラトゥス墓地
ノラトゥス墓地:セヴァン湖畔に広がるハチュカルの森
ノラトゥスの大墓地は、アルメニアのゲガルクニク地方、セヴァン湖西岸に近い村にあります。アルメニア国内で最大級のハチュカル群が残る場所です。ハチュカルは十字架を中心に、植物文様、組みひも、ロゼット、幾何学模様を石に彫ったアルメニア独自の記念碑で、一基ごとに構図と彫刻が異なります。
墓地には中世から近世まで長い時代にわたる石碑が残ります。初期のハチュカルは主に9〜10世紀にさかのぼり、16〜17世紀には制作伝統が再び活発になって精緻な作品が生まれました。十字架碑だけでなく、宴、婚礼、農作業、騎馬人物などを表した墓石もあり、当時の社会生活と死者の記憶の表現を伝えています。
ここは単なる野外美術館ではなく、村の共同体と結び付いた墓地であり、現在も追悼の場です。アルメニア政府は2024年にノラトゥス・ハチュカル歴史文化保護区を設置し、文化財としての保護体制を強化しました。村内には9世紀末建立の聖母教会もあり、地域の宗教史を合わせて理解できます。
ノラトゥス墓地の見学方法
エレバンからはセヴァン湖方面を経てガヴァル、ノラトゥスへ向かう陸路が一般的です。時代、文様、碑文の違いは案内があると理解しやすいため、ガイドの有無を現地で確認してください。地面は不整地で風を受けやすく、安定した靴と季節に合う服装が必要です。石碑に登ったり、風化した彫刻に触れたりせず、葬儀や墓参が行われている場合は距離を保ちましょう。斜光になる朝夕は彫刻の細部を観察しやすくなります。