について ボイニツェ城
温泉の町を見下ろす城
ボイニツェ城は、スロバキア西部の温泉町ボイニツェの中心にあるトラバーチンの丘に建っています。尖塔や明るい色の壁は絵本のようですが、ここは単なる撮影背景ではありません。スロバキア国立博物館のボイニツェ博物館が置かれ、長い改築と所有者交代の歴史を伝えています。博物館は国内でも最も古く重要な記念建造物の一つと紹介しています。見学では、室内の展示、複数の中庭、城の下に広がる天然洞窟をたどります。
城に関する最初の文献記録は1113年にさかのぼり、ゾボル修道院に関係する文書に記されています。当初は古い城砦跡に築かれた木造の拠点で、13世紀にはポズナン家が石造りに改めました。町を見下ろす高台は防御の面でも象徴性の面でも重要でした。現在の建物は、手つかずの中世建築ではなく、軍事、居住、権威の表現など、時代ごとの目的に合わせて姿を変えてきた複合体です。
中世後期には所有者が何度も交代しました。ハンガリーの有力貴族マトゥーシュ・チャークが1321年まで城を支配し、その後は複数の貴族家が受け継ぎました。1489年、マーチャーシュ・コルヴィヌス王は領地を息子ヤーノシュ・コルヴィヌスに与え、王の死後にはザーポリャ家が所有しました。1527年にはフェルディナンド1世がアレクセイ・トゥルゾーに城を授けます。トゥルゾー家はゴシック様式の要塞を、内庭を囲むルネサンス様式の居住空間へと改めました。
貴族の居城からロマン主義の名所へ
トゥルゾー家の断絶後、城は王室に戻り、のちにパールフィ家の所有となりました。最後の貴族所有者ヤーノシュ・フェレンツ・パールフィ伯爵は1852年に領地を取得し、現在の外観を決定づける改築を始めました。工事はヨゼフ・フーベルトの設計協力のもと1889年から1910年まで続き、パールフィ自身も計画と指揮に深く関わりました。フランス・ロワール地方のゴシック城、アヴィニョンの教皇宮殿、チロルのゴシック建築、イタリア・ルネサンスが意匠の手本になりました。
その結果は、特定の中世の一時期を忠実に復元したものではなく、複数の様式を意図的に組み合わせたロマン主義的な邸宅でした。塔や中庭、装飾的な室内が、長い時間をかけて形成された要塞に新たな表情を与えています。パールフィは1908年に亡くなり、工事の完成を見届けられませんでした。相続をめぐる争いの後、彼の美術コレクションは1924~26年に競売にかけられました。1939年にバチャ社が城と土地を購入し、戦後は国有となりました。
1950年に城内に博物館が設けられ、現在はスロバキア国立博物館の一部となっています。そのため見学は有料で、基本的には博物館の定めたルートをたどります。自由にすべての部屋へ入れるわけではありません。「城と洞窟」と「城の居室」の二つの見学コースがあり、内容、所要時間、料金が異なります。結婚式の開催時にはゴールデン・ホールがルートから外れる場合もあるため、特定の部屋を見たい人は出発前に告知を確認しましょう。
城の地下にある天然トラバーチン洞窟は、見学者を驚かせる特徴の一つです。博物館によると、洞窟は直径約22メートル、高さ約6メートルで、第4中庭の地面から26メートル下にあります。水が火口状の開口部や岩の割れ目から入り、トラバーチンを溶かして運び去り、円形の空間と自然の壁面装飾、二つの池を形づくりました。1888年、城の井戸を清掃・修理する際に再発見され、1967年に初めて一般公開されました。
展示室、地下地形、城の公園
洞窟は城と洞窟を組み合わせた見学コースに含まれます。中庭から岩盤へ下りると、地質が水の確保や建物の隠れた空間に影響したことがわかります。博物館は、地下の池がトラバーチン丘にある別の空洞とつながっている可能性を示しています。ただし、これは地質上の推測であり、来訪者が自由に歩ける地下通路網が確認されているという意味ではありません。
城壁の外には景観公園が広がり、建物の外側にも見どころがあります。博物館の記録では、城の庭師に関する記録は1910年までさかのぼり、公園には珍しい木々が植えられています。「マーチャーシュ王の菩提樹」と呼ばれる木には、マトゥーシュ・チャークが1301年に植えたという伝承があります。博物館はこれを確定した史実ではなく伝説として紹介しています。後年、暴風雨で大きな枝が損傷し、1969年に自然保護の対象となりました。
写真だけを撮って立ち去るのではなく、城、公園、町を歩く時間を確保するとボイニツェの魅力が見えてきます。博物館の住所はZámok a okolie 1, 972 01 Bojniceです。近郊の地区中心都市プリエヴィドザとは定期的な公共交通で結ばれ、同市にはスロバキア各地へ向かうバスと鉄道の駅があります。車を使わない場合は、出発前に最新の接続時刻と博物館のアクセス案内を確認してください。
開館時間、チケット、見学の準備
開館時間は季節ごとに変わります。本記事で確認した公式カレンダーでは、11月から3月は水~日曜の10時~15時、4月は月曜を除き10時~16時、5月は月曜を除き9時~17時、6~8月は毎日9時~17時、9月は月曜を除き9時~17時、10月は月曜を除き10時~15時です。チケット窓口は正午から12時30分まで休みますが、すでに始まった見学は続けられます。旅行前に最新の時間を再確認しましょう。
チケットはオンラインまたは城内で購入でき、博物館の窓口では現金とカードを利用できます。料金はコースと来館者区分によって異なり、特別イベントには別料金が設定されます。「城と洞窟」のチケットは居室見学とは別に案内されているため、購入前に各コースに含まれる範囲を比べてください。チケット料金には写真・動画撮影が含まれますが、フラッシュは禁止され、館内規則を守る必要があります。
ボイニツェを深く知るには、童話のような外観だけでなく、記録に残る歴史もたどりたい場所です。木造の砦、石造の中世城、ルネサンスとバロックの改築、パールフィによる長期のネオゴシック工事、博物館、そして水が形づくった洞窟が重なり合っています。予約した見学時間を軸に公園散策も組み込み、イベントによるルート変更を確認しましょう。ここでは地質、貴族の趣味、公共の文化財が一つの場所に出会います。