について 王宮
マドリード王宮はスペイン王室の公式宮殿だが、現在は主に国の式典や公式行事に使用されている。床面積は約13万5,000平方メートル、部屋数は3,418室で、現在も王室機能を担う宮殿としては欧州最大の床面積を持つ。フェリペ6世と王族は日常的にはここに住まず、マドリード郊外のより簡素なサルスエラ宮殿を居所としている。
宮殿はスペイン国有で、国家遺産庁が管理する。マドリード中心部西側のバイレン通りにあり、地下鉄オペラ駅からアクセスしやすい。国家行事や臨時変更がない限り、一部の部屋が一般公開される。2026年に公式サイトで案内されている一般の自由見学料金は18ユーロ。通常の開館時間は4月から9月が月曜〜土曜10時〜19時、日曜10時〜16時、10月から3月が月曜〜土曜10時〜18時、日曜10時〜16時で、最終入場は原則として閉館1時間前となる。料金と時間は変更される場合があるため、国家遺産庁の公式予約ページで確認したい。
この場所の歴史は9世紀のイスラム時代の城塞にさかのぼる。コルドバのムハンマド1世がマジェリト付近の前哨拠点として築き、1036年以降はトレドのタイファ王国に継承された。1083年にマドリードがカスティーリャ王アルフォンソ6世の支配下に入った後、1329年にはアルフォンソ11世が初めてマドリードでコルテスを招集。1561年、フェリペ2世が宮廷をマドリードへ移した。
16世紀に整備されたカスティーリャのアルカサルは、1734年12月24日の火災で焼失した。フェリペ5世は同じ場所に新宮殿の建設を命じ、工事は1738年から1755年まで続いた。フィリッポ・ユヴァラとジョヴァンニ・バッティスタ・サッケッティの設計を軸に、ベントゥーラ・ロドリゲス、フランチェスコ・サバティーニ、マルティン・サルミエントらも携わった。新宮殿には1764年、カルロス3世が初めて入居した。
宮殿に継続して暮らした最後の国王はアルフォンソ13世である。第二共和政期には大統領マヌエル・アサーニャも居住し、ここを住居とした最後の国家元首となった。当時は「国民宮殿」と呼ばれ、王室礼拝堂の近くには現在も「アサーニャの執務室」と呼ばれる部屋が残る。
内部は壮麗な空間と上質な素材、豊富な美術品で知られる。カラヴァッジョ、フアン・デ・フランデス、ゴヤ、ベラスケスらの絵画、ティエポロ、ジャキント、メングスらのフレスコ画を所蔵。王立武具博物館、磁器、時計、家具、銀器のほか、完全な形でそろう世界唯一のストラディバリウス弦楽五重奏用楽器も大きな見どころだ。
公式行事のため一部または全館が急きょ閉まることがあり、入館時には保安検査も行われる。行列を避けるなら公式サイトで事前予約し、訪問当日にも最新の開館情報を確認すると安心だ。