ワディ・ムジブは、ヨルダンの死海東側に広がる高地を深く切り込む川の峡谷である。この名称はムジブ生物圏保護区全体を指すこともある。王立自然保護協会(RSCN)によると、保護区は険しい山地から死海の湖岸まで広がり、約212平方キロメートルを占める。景観を理解する鍵は大きな標高差だ。ワディの流れは地球上で最も低い内陸盆地の一つへ水を運び、高い場所には乾燥した斜面や高地の生息環境が広がる。保護区は一つの滝や短い峡谷散策だけでは語れない。
西端は死海に接し、湖岸は海抜約400メートル下に位置する。公的な資料の数値には多少の違いがあり、RSCNは海抜マイナス約402メートル、ユネスコの生物圏保護区資料は湖岸の基準をマイナス416メートルとしている。どの地点でも同じ精度の数字であるかのように扱うより、東部高原から水面まで大きく下る地形に注目したい。保護区はワディ・ザルカ・マインとワディ・シュゲイグの間にあり、谷の水系は死海へ流れ込む。標高、水、乾燥地形の対比が、変化に富む風景を生み出している。