メキシコシティ北部のテペヤックにあるグアダルーペの聖母大聖堂は、メキシコを代表するカトリック巡礼地である。カトリックの伝承では、1531年に聖母マリアが先住民フアン・ディエゴに出現したとされ、現在の大聖堂にはグアダルーペの聖母像が映ると信じられているマントが安置されている。信仰の有無を問わず、この図像がメキシコの美術、社会、国民意識に与えた影響を知る場所でもある。
聖域は一つの建物ではない。20世紀後半に完成した円形の新大聖堂、1709年に開かれた旧大聖堂、ポシート礼拝堂、丘の礼拝堂、カプチナス教会、広場や庭園から成る。新大聖堂は大勢の参列者が主祭壇の聖像を見られる構造で、祭壇下には人の流れを止めずに聖像を間近に望める動く歩道がある。旧大聖堂のバロック建築と並べて見ると、巡礼地が時代ごとに拡張された過程も分かる。