コア渓谷は屋根のある展示室ではありません。ポルトガル北東部、コア川がドウロ川に合流する起伏の多い土地に、岩面の考古遺跡が点在します。スペイン側のシエガ・ベルデでは、アグエダ川沿いに岩刻が続きます。ユネスコは二つの地域を一つの連続性のある世界遺産として扱っています。屋外に描かれた図像が、イベリア半島の旧石器時代の暮らしを関連づけて示すためです。
ポルトガルでの発見史は現代の論争と切り離せません。カナダ・ド・インフェルノで最初の岩刻パネルが確認されたのは1991年末で、1994年に一般に公表されました。その頃、コア川のダム計画が進んでいました。遺跡の考古学的価値を受け、谷を水力発電のために水没させるのか、保護するのかという議論が国内で起きます。1996年、ポルトガル政府はダム計画を断念し、岩刻を景観ごと残す判断をしました。