ベレンの塔はリスボンのテージョ川北岸に立ち、正式名をサン・ヴィセンテの塔という。マヌエル1世期の1514~1519年、建築家Francisco de Arrudaが岸近くの玄武岩露頭に建設し、中世的な4層塔と当時新しい低い砲台を組み合わせた。対岸の防備とともに河口を守り、リスボンに発着する船の儀礼的な標識でもあった。1755年地震で川筋が変わり岸へ移った、という俗説は正しくない。
縄、結び目、王室紋章、天球儀、動物、ムーア風意匠が明るいlióz石灰岩を覆い、ポルトガル後期ゴシックのマヌエル様式を代表する。南面ロッジアは航路へ向き、宮廷的演出とともにポルトガル海洋進出の権力、交易、暴力を見届けた。1983年、近隣のジェロニモス修道院とUNESCO世界遺産になった。ロマン化された「大航海時代」の象徴だけでなく、世界的接触の複雑な結果も考えたい。