ヴュルツブルクのレジデンツ広場(ドイツ語名Residenzplatz)は、バロック様式の宮殿を都市に向かって開く広大な前庭です。宮殿の入口前にある舗装広場というだけではありません。ユネスコは1981年、レジデンツ、宮廷庭園、レジデンツ広場を一体の世界遺産として登録しました。開けた空間に立つと、宮殿の正面、噴水、庭園へ続く軸線がどのように結びつくかを読み取れます。同時に広場はヴュルツブルクの日常の都市空間でもあり、住民や旅行者が歴史地区を歩いて行き交います。
広場の規模は、宮殿を建てた宮廷の野心を物語ります。工事は1720年に始まり、建物の主要部分は1744年までにほぼ完成しましたが、内装や調度は1780年まで続きました。設計の総指揮を執ったのはバルタザール・ノイマンです。ただし、宮殿は国際的な工房の成果でした。ドイツ語圏やフランスの建築家が設計に携わり、イタリアなど各地の芸術家が装飾を手がけ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロが名高いフレスコ画を描きました。広場はヨーロッパの建築と宮廷の後援をめぐる物語を屋外で見せる舞台です。