セーヌ川左岸、チュイルリー庭園の向かいにあるオルセー美術館は、かつてパリ中心部に到着する鉄道旅客を迎えた建物を利用しています。駅とホテルは1900年7月14日、万国博覧会に合わせて開業しました。建築家ヴィクトール・ラルーは、石造りの外観を周囲の格式ある街並みに調和させながら、内部には当時の新素材だった鉄とガラスを生かしました。今も旧駅の大きなホールが館内の軸となり、建築そのものが見学の一部です。
駅が建つ前、この場所にはオルセー宮殿と騎兵隊の兵舎がありました。宮殿は1871年のパリ・コミューンで焼失し、廃墟の状態が数十年続きます。1897年、オルレアン鉄道会社は新しい終着駅の設計者にラルーを選びました。駅は約40年間、長距離列車の発着に使われましたが、列車の電化と編成の長大化に伴い、1939年以降は長距離輸送に対応できなくなりました。戦中・戦後にさまざまな用途を経た建物は、取り壊し案から美術館計画によって救われました。