ヴェネツィアの大運河は、同じような名称を持つ水路の一つではありません。歴史地区の中心を大きな逆S字形に横切る、街の主要な運河です。イタリア政府観光ポータルによると、サンタ・ルチア駅周辺からサン・マルコ湾までの長さは約3.8キロ。両岸には教会、公共施設、宮殿が並び、絶えず変わる建築の景観をつくっています。観光名所であると同時に、公共船、作業船、ゴンドラ、地元の交通が行き交う現役のインフラでもあります。
この二つの顔を知ると、見学の仕方も変わります。水辺をずっと散歩できると思うかもしれませんが、運河沿いには連続した歩道がありません。歴史地区は水路と細い路地を軸にできており、一本の川沿いの遊歩道が街を貫いているわけではないのです。橋の上から眺め、公共船に乗り、近くの地区を歩くという複数の視点を組み合わせれば、運河と地域の日常生活とのつながりが見えてきます。大運河は観光用の舞台装置ではなく、実際に機能する都市の動脈です。