バチカン市国はローマ西部に位置する主権国家だが、カトリック教会や聖座と同じものではない。国家は領土の基盤を提供し、聖座はカトリック教会の中央統治機関として外交も担う。この区別は訪問者にも大切だ。国家の境界、教会の事務所、ローマの宗教的景観は、必ずしも同じ地図上に重ならない。
1929年2月11日にイタリアと聖座が結んだラテラノ条約は、バチカン市国を独立国家として成立させ、1870年にローマで教皇の統治が終わった後の「ローマ問題」を解決した。条約はかつての教皇領を復活させたのではなく、聖座が使命を果たすための独立を保障する小さな領土を定めた。