トルコ南西部アンタルヤ県、カシュ郡クヌク近郊のエシェン川を見下ろす丘に、古代都市クサントスの中心部が残っています。この町の歴史は、ひとつの帝国や劇的な伝説だけでは語り尽くせません。リュキア語でアルナと呼ばれた集落は、やがてリュキア地方の主要都市、そして政治的な中心へ発展しました。内陸と地中海沿岸を結ぶ広い谷に築かれた都市には、地元の伝統とギリシャ、ローマ、ビザンツ文化との長い交流が、遺構として刻まれています。 クサントスはリュキア海岸を巡る旅程に組み込まれることが多いものの、海辺の立ち寄り先でも、小さな博物館の中庭でもありません。遺跡は屋外の斜面や段丘に広がり、劇場、公共空間、防御施設、教会、墓などを歩いて巡ります。谷の眺めと現在の集落も見学の景色の一部です。まず遺跡図と現地の案内板を確認すると、各区域の位置や建物の年代が異なることを把握でき、目立つ遺構を同時代のものと誤解せずにすみます。
古代都市を理解するには、南西へ約4キロ離れたレトーンも視野に入れる必要があります。ユネスコは1988年、両遺跡を「クサントス・レトーン」として一体で世界遺産に登録し、リュキア文明を示す隣接した中心地と位置づけました。クサントスが政治の都だったのに対し、レトーンは主要な聖域で、宗教や政治に関する決定が公に伝えられた場所です。ただし訪問先は別々です。レトーンの神殿や有名な三言語碑文はクサントス遺跡内にはありません。