堀の向こうに、長野の山々を背景にした松本城の白と黒が浮かび上がる。黒い壁と重なる屋根は印象的だが、近づくと、異なる時代に異なる目的で建てられた建物がつながる複合体だと分かる。いまの姿を残した背景には、築城した人々だけでなく、幾世代もの市民の努力がある。
松本城は現存する木造天守であり、近代の鉄筋コンクリートによる再建ではない。市は、外観五重・内部六階の現存天守として最古と案内している。国宝指定の対象は大天守、乾小天守、渡櫓、辰巳附櫓、月見櫓の五棟。入城前に堀の周りを歩き、屋根と石垣のつながりを眺めたい。