イングランド南東部ケント州のカンタベリー大聖堂は、カンタベリー大主教座聖堂であり、英国国教会と世界のアングリカン伝統の重要な中心である。597年にアウグスティヌスがケントへ渡来して教会を築き、ノルマン征服後の1070~1077年に再建された。その後も拡張が続き、ロマネスクの地下聖堂、初期ゴシックの内陣、垂直式ゴシックの身廊が重なる。
1170年、大主教トマス・ベケットが聖堂内で殺害された。墓所はたちまちヨーロッパ有数の巡礼地となり、増える巡礼者に対応する東端部の拡張や、チョーサーの『カンタベリー物語』につながった。1538年の宗教改革で聖廟は破壊されたが、殉教地点、トリニティ礼拝堂、コロナ礼拝堂は信仰、王権、建築の関係を今も伝える。