青岸渡寺は、和歌山県の那智の滝を見下ろす森の斜面に建っています。滝の音と水の姿は、何世紀にもわたってこの地の信仰を形づくってきました。寺院は滝そのものでも、隣接する熊野那智大社でもありません。仏教寺院と神道の神社は別々の宗教施設でありながら、長く交わってきた紀伊山地の景観をともに構成しています。
寺の公式説明は、インドから熊野の海岸に渡り、仁徳天皇の時代に那智の滝を見いだした裸形上人の物語を開創の伝承として伝えています。これは寺院に受け継がれた由緒であり、同時代の記録が証明する創建年代ではありません。公式説明によると、その約二百年後、推古天皇の時代に堂宇が建てられ、如意輪観音が安置されました。