マドリードの南約70キロに位置するトレドは、タホ川に囲まれた岩山の上に築かれた都市です。ローマ都市、西ゴート王国の首都、コルドバ首長国の要塞、そしてカルロス5世時代の王権の中心と、時代ごとに異なる役割を担ってきました。約260ヘクタールの歴史地区は、二千年にわたる都市景観を伝える場所として1986年にユネスコ世界遺産へ登録されました。
「三文化の街」と呼ばれる理由は、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の文化が街路と建築に重なっているためです。トレド大聖堂、サン・フアン・デ・ロス・レイエス修道院、サンタ・マリア・ラ・ブランカ教会、クリスト・デ・ラ・ルス・モスクなどを巡ると、単純な様式分類では語れない歴史が見えてきます。中世の翻訳活動を通じ、アラビア語やヘブライ語で伝わった知識がラテン語圏へ広がったことも、トレドの重要な遺産です。